シートベルトは正しく着用しなければ、正しく機能しません。下記イラストを参考に、正しい方法で着用しましょう。
妊娠中の女性も適切にシートベルトを着用することで、母体や胎児の安全を守ることができます。着用する際は、医師とも相談して正しく着用しましょう。
チャイルドシートは多くの種類が販売されていて「どれを選んでよいか迷う」という声を聞くことがありますが、選ぶ際は以下のポイントを参考にしてください。
日本においてチャイルドシートとして認められているためには、国土交通省の安全基準に適合したものであることが求められており、その基準に適合したものには型式指定マークが貼付されています。
現在、日本の安全基準にはEマークの国際基準が採用されていますので、チャイルドシートを選ぶ際は、必ずEマークがあるものを選びましょう。
Eの横の数字は認可国番号で、日本は43番になっています。43以外の数字は別の国で認可を受けたことになりますが、どの国でも同じ国際基準で検査されていますので安心です。
Eマーク
この国際基準について少し詳しく見ていきます。それまで日本は独自基準で行っていましたが、平成18年3月より国際基準(UN R44)に改正されたのち、平成26年1月にはより安全性を向上させるため側面衝突試験等を追加した国際基準(UN R129)に改正されています。
「UN R44」に準ずる改正の概要
<ISOFIX方式による固定>
<車両側の取付位置の表示例>
<後ろ向き取付禁止の表示例>
「UN R129」に準ずる改正の概要
<側面衝突を模擬した試験>
<トップテザーとサポートレッグの例>
<後ろ向き取付禁止の表示例>
<i-Sizeの表示>
未認証チャイルドシートの危険
インターネット通販により、安全基準に適合しないチャイルドシートが少なからず販売しています(現在、各販売サイトでは安全証明書の提出を義務付けるなど未認証商品販売対策を取っています)。そのようなチャイルドシートは必要な安全性が不足しているため、事故発生時にはベルトが壊れて投げ出されるなどの危険性があります。
出典 国土交通省
POINT 1
Eマークは「UN R44」または「UN R129」の基準をクリアした製品にのみ付けられます。選ぶ際は、必ずEマークが付いているものを選びましょう
チャイルドシートは、体重や身長を目安に「乳児用」・「幼児用」・「学童用」があり、また、複数のタイプを兼用するものもあります。そのため、乗せる子どもの体格に適したチャイルドシートを使用するよう、成長に合わせて正しく使い分けしましょう。
重量区分及び年齢目安
UN R44
グループ0 (G0) : 10kg未満
グループ0+(G0+) : 13kg未満
新生児から概ね1歳まで使用(首がすわるまで)
UN R129
身長40cm~85cm
※機種によって異なる場合があります。
特徴
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
重量区分及び年齢目安
UN R44
グループ1 (GⅠ) : 9kg~18kg
概ね1歳(首がすわったら)から4歳まで使用
UN R129
月齢15ヶ月以上かつ身長76cm~105cm
※機種によって異なる場合があります。
特徴
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
重量区分及び年齢目安
UN R44
グループ2 (GⅡ) : 15kg~25kg
グループ3 (GⅢ) : 22kg~36kg
概ね4歳から10歳まで使用
UN R129
背もたれ付き学童用シート→ 身長100cm~150cm
背もたれのない学童用シート→ 身長125cm~150cm
※機種によって異なる場合があります。
※学童用シートにISO-FIX取付装置が装備されている製品は、自動車の3点式シートベルトと併用して使用します。
特徴
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
乳児用と幼児用を兼用し長く使用できるチャイルドシート
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
幼児用と学童用を兼用し長く使用できるチャイルドシート
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
乳児用から学童用までを1台でカバーでき、長く使用できるチャイルドシート
画像提供 一般社団法人 日本自動車部品工業会
チャイルドシートには、乳児用、幼児用、学童用、乳幼児兼用、幼児学童兼用タイプの他、乳児から学童まで使用できるものもあります。チャイルドシートは、新生児からシートベルトが着用できるまでの期間必要になります。各タイプを個別に用意するか、または乳幼児兼用+学童用、乳児用+幼児学童兼用などいろいろなパターンがありますので、家族構成や乗せ降ろしの使い勝手、自動車の利用頻度、チャイルドシート1台当たりの使用期間などを考慮して選びましょう。
POINT 2
チャイルドシートは乗せる子どもの体格に適したものを第一に、次に今後の使用スケジュールも踏まえて選びましょう
固定方式
シートベルト方式
自動車のシートベルトを使用して、チャイルドシートを座席シートに固定します。
以前は腰ベルトのみの2点固定タイプもありましたが、現在では肩ベルトも使用した3点固定タイプがほとんどとなっています。
ISO-FIX方式
自動車に設置されている金具とチャイルドシートのコネクタにより、差し込むだけで固定できる方式になります。しかし、自動車の金具がチャイルドシートに対応していることが必要になるため、その適合を確認することが必要です。
シートタイプ
固定式
チャイルドシートを固定すると、向きも固定されます。シンプルな構造のため取付けもしやすいほか、回転式と比べて重量が軽いため付け替えが容易に行える、価格が回転式より手頃であるなどの利点があります。
回転式
チャイルドシートのベース部分を固定し、上部の座席部分が回転する構造になっています。そのため、座席の向きを簡単に変えられることで子どもの乗せ降ろしがしやすいことがあります。しかし、本体が大きく重量もあるため自動車への付け替えが大変になることや、チャイルドシートから自動車の床面に伸ばして支えるためのサポートレッグもしっかり使用することが必要となります。
POINT 3
チャイルドシートは固定方式により取り付け方が異なりますので、自分でしっかり取り付けられる固定方式を第一に、使い勝手を踏まえて選びましょう
チャイルドシートだけではなく、自動車の座席やシートベルトなども国際基準に則って製造されています。そのため、基準を合わせることでチャイルドシートは多くの自動車に取付ができますが、全ての自動車の座席に取り付けられるわけではありません。自動車の座席がいつの基準により製作されているか、また座席の形状や床面の強度はどうかによって取り付けができないチャイルドシートと自動車の組み合わせがあります。
国内自動車メーカーは、自動車の各座席に搭載できるチャイルドシートを固定方式や基準別に取扱説明書に記載していますので、どの座席にどのチャイルドシートが適合するか購入する際に必ず確認しましょう。
また、国内チャイルドシートメーカーも自動車メーカー、車種、座席毎に自社チャイルドシートが適合しているか調査した取付確認車種リストを公表しています。店舗のチャイルドシート販売コーナーや各チャイルドシートメーカーサイトで確認することができますので、こちらでも適合するか確認しましょう。
コンビ(株)
ニューウェルブランズ・ジャパン(同)(アップリカ)
アルツァーナジャパン(株)(RECARO)
(株)日本育児
一般社団法人日本自動車部品工業会の「チャイルドシート」会員企業のうち了承を得たチャイルドシートメーカーを記載
POINT 4
チャイルドシートと自動車の適合がされているか、自動車の説明書や取付確認車種リストで必ず確認しましょう
ポイント1で取り上げたEマークが付いているチャイルドシートは、基準上の安全性があります。
国土交通省では、チャイルドシートのアセスメントにより信頼できる安全性能評価を公表し、ユーザーがより安全な製品を選びやすい環境を整える取り組みを行っています。アセスメントでは、売れ筋のものを中心にチャイルドシートを評価し、その結果を国土交通省・NASVAホームページやパンフレットを用いて公表しています。
チャイルドシートアセスメントの評価
前面衝突試験
時速55kmでの前面衝突時に、チャイルドシートの取付部、ダミーの頭部や胸部に与える影響等を、「優」、「良」、「普通」、「推奨せず」の4段階で評価
使用性評価試験
チャイルドシートの誤った使用を防止する観点から、以下の項目について点数評価
①取扱説明書等の記載内容、②本体表示内容、③機構の性能、④座席への装着性、⑤着座性
POINT 5
より安全なチャイルドシートを選ぶためには、アセスメントも参考にしましょう
まとめ
ポイント1~5を参考に、基準に則り、子どもの年齢や体格に合い、使いやすく、自動車に正しく取り付けられ、より安全性の高いチャイルドシートを選びましょう
安全性の高いチャイルドシートを選ぶことができても、自動車にしっかり取り付けなくては意味がありません。せっかくチャイルドシートがあっても座席に乗せるだけにしてしまったり、取り付け方を誤ったりすると、交通事故発生時にチャイルドシート本来の機能が発揮できず、正しく使用していれば防げたケガを負ってしまう可能性が高くなります。
チャイルドシートは正しく使用しましょう
乳児後ろ向き・シートベルト固定タイプ
幼児前向き・シートベルト固定タイプ
学童・シートベルト固定タイプ
乳幼児兼用回転・シートベルト固定タイプ
乳児後ろ向き・ISO-FIX固定タイプ
幼児前向き・ISO-FIX固定タイプ
学童・ISO-FIX固定タイプ
乳幼児兼用回転・ISO-FIX固定タイプ
警察庁と日本自動車連盟は、チャイルドシート使用状況調査の他に、正しく車両に取り付けられているか(ミスユース)及び正しく座らせているか(しっかり着座)についても全国調査を行っています。
チャイルドシート取付け状況調査結果
この調査結果では、乳児用が約3割、幼児用では約4割がミスユース(誤った使用方法)をしており、全体の約4割がチャイルドシートを正しく車両に取り付けられていないことが分かりました。
乳児用シートにおける
取付け時のミスユース
幼児用シートにおける
取付け時のミスユース
このミスユースの内訳を見てみると、乳児用・幼児用とも「腰ベルトの締付け不足」が最も多くの割合を占めていることが分かります。そのため、この「腰ベルトの締付け不足」を解消することが乳児用・幼児用チャイルドシート取付けの大きなポイントになります。
チャイルドシート着座状況調査結果
この調査結果では、乳児用が約5割、幼児用では約6割、学童用では約5割がミスユースをしており、全体の約5割が子どもをチャイルドシートに正しく座らせられていないことが分かりました。
乳児用シートにおける
着座時のミスユース
幼児用シートにおける
着座時のミスユース
学童用シートにおける
着座時のミスユース
この着座状況調査のミスユース内訳を見てみると、乳児用・幼児用共に「ハーネスの締め付け不適正」が最も多いほか、ハーネスに関するものが多くなっています。学童用においては、「体格不適合」が最も多くなっています。
乳児用・幼児用チャイルドシートに子どもを載せる際は説明書を確認の上、ハーネスを正しく通すと共に子どもがハーネスから抜けないようしっかり締め付けましょう。
学童用チャイルドシートは、5~10歳など対象となる目安年齢が広い商品もあります。使用する子どもの現在の体格にしっかりと合った使い方をしましょう。